余禄

余録02

思ったこと、感じたことだけでなく、できれば、その旅の空気感や雰囲気、情感なども思い出に残したくて、書き始めたその時々の雑感や旅行余話です。

石澤良昭氏同行の旅

石澤良昭氏この夏、ユーラシア旅行社が主催する石澤良昭氏(上智大学学長)が同行するアンコールへの旅に参加した。

「アンコール・ワット西参道にある足跡は何ですか?」

「森本右近太夫一房の墨書、思ったより高い位置にありますが、どうやって書いたのですか?」。

先生は、的はずれでつまらない素人の質問に対しても自らの知的探求心の源と真っ正面から受け止めます。

回廊にオレンジ色の夕陽が差し込んでいる。その美しさに感じた胸の高まりを熱く語る一方で、

「なぜ足形が西参道あるかは分かっていません」と真摯に答えて下さった。

アンコール遺跡がこんなにも美しく、秘密に溢れているかを知り、

ますます魅せられている。

暑さしのぎ

象のテラス暑さをしのぐコツ(タイ人の極意)が毎日新聞の「憂楽帳」に載っていた。

省エネ歩きと水浴び、日陰を選んで歩く、イライラしないの4つだ。

歩き方を試してみた。

アンコール・ワットの西参道を、普段歩くよりスピードを落としてだらだらとすり足で歩いた。

太陽が背中を照りつけ、石畳から湧き上がる熱気が体を包んだ。

また、パプーオンへ向かって象のテラスの上を樹木の陰を求めてジグザグに歩いた。

木々の間を湿気を少し含んだ冷たい風が抜けていった。

ただ暑いだけと思っていたのですが、日本の夏山歩きと同じだ。

しかし、グループからはぐれそうになり、みんなのところまで走ったので、暑さしのぎには役立たなかった。

ライ王のテラス

ライ王のテラス蛇神とともに生き栄え滅びたクメールの歴史を題材とする三島由紀夫の戯曲「癩王のテラス」。

高さ約6m、一辺約25mの舞台は、とても眺めのよい場所だ。

一列に並ぶプラサット・スゥル・プラット(綱渡りの塔)が森の緑を背景に赤く輝く。

テラス上の高さ約1mの座像は、苔でまだら状に腐食し、

それが伝説として伝わるライ病のクメール王を連想させるため、

ライ王と名づけられたと言われている。

そんなテラスに腰掛けて、

サトイモとココナッツミルクで作られた焼き菓子を食べながら、

「人間そのものへの悲哀に思いを馳せる」そんな楽しみ方もありかな。

プロジェクトX

石工頭 ハウ・トイこの夏、アンコール遺跡を再訪する。

きっかけは、プロジェクトX「アンコール・ワットに誓う師弟の絆」だ。

「石澤は、アンコール遺跡国際調査団を組織し、鬼の石工と呼ばれる60才を越した日本人の石工職人、小杉孝行の協力を得てカンボジアへ渡った」

とナレーターは語った。

「アンコール遺跡へ行くと、アンコール遺跡と恋に落ちる」と言われているが、

私は、石澤教授の熱い思いに魅せられた。

今度の旅は、石澤教授現地同行「アンコール遺跡群を極める旅」だ。

アンコール・ワットに架かる虹

虹宇宙の中心、神々が住むという須弥山を模したアンコール・ワット。

中央祠堂の高い急な階段を登った。

樹海のはるか遠くに黒いカーテンのような雨が見える。

あっという間に上空が真っ黒になり、強風と雷を伴う激しい雨が降りだした。

しかし、すぐに通り過ぎた。雨期の雨は、まるで日本の夕立のようだ。

土砂降りの雨の後に、ひときわ高くそびえる塔に虹が架かった。

天上界と人間界の架け橋だ。創った往時の思いを強く感じ気持ちが高ぶった。

500リエル紙幣

500リエル紙幣500リエル紙幣の裏面図柄は、プノンペンから約120キロ北へいったコンポンチャムのメコン河に架かる橋だ。

この橋の名前は「Spien KIZUNA」と言う。

Spien は、クメール語で「橋」という意味だから

「きずな(絆)橋」だ。

「夫婦で行けたら最高」と思いませんか。

遺跡を観る

下知を与えるスールヤヴァルマン2世もっと遺跡のことが知りたくて、

「アンコール・ワットへの道」石澤良昭著、「アンコール・ワットの魅力」重枝豊著

を読んだ。

アンコール・ワット第一回廊の壁画やバンテアイ・スレイの破風を見たという単なる証拠写真が、

「下知を与えるスールヤヴァルマン2世」や「猿王バーリとスグリーバの戦い」

になった。

観るためには、ある程度の知識が必要だ。

気がつくのがちょっと遅かった。

遺跡を見る

遺跡観光の拠点シェムリアップに3連泊して、ゆったりたっぷり充実のアンコール遺跡観光ツアーに行った。

世界遺産・密林の至宝「アンコール・ワット」や

四面仏尊顔「アンコール・トム都城」、

熱帯の巨木に呑み込まれる発見当時のままの「タ・プローム」、

東洋のモナリザ「バンテアイ・スレイ」、

最古の都跡「ロリュオス」、

夜明けを迎える「アンコール・ワット」、

西バライに沈む夕日「プノン・バケン」と

アンコール遺跡群を極める旅だった。

でも、どこをどのように見て回ったのか覚えていない。

ハリハラ神

日本語ガイドさんの説明を聞きながら

プノンペン国立博物館でハリハラ神の彫像を見た。

頭部の左半分が僧帽で右半分が半髪もとどり宝冠という頭髪の風変わりな組み合わせと、

額に縦長の第三の目が半分だけ刻まれた、

左右の有り様があきらかに異なる造形の彫像だ。

ハリハラ神は、世界の創造神「ビシュヌ神」と破壊の神「シバ神」を

左右に貼り合わせた混合神だと聞いた時、

我が家の子供たちが小さかった頃よく遊んだおもちゃ「六神合体ゴッドマーズ」を思い出した。

偉大な神様を合体して、さらに強力な神様にする発想は、日本人を含めた東洋人に共通するの?

そんなわけでこの神様にとても親しみを感じたので調べた。

左半分が ヴィシュヌ神で右半分がシヴァ神だ。

ハリは生成を意味するのでヴィシュヌ神をさし、ハラは破壊ですからシヴァ神を示す。

神々とアスラたちが乳海を攪拌した時、女神モーヒニーに姿を変えたヴシュヌ神にシヴァ神が恋に落ち、ハリハラが誕生したという。

とても普通には思いつかないユーモアあふれる物語だ。

まだまだ、ハリハラ神への興味は尽きません。