神々と魔族の戦い

アンコール・ワット第一回廊北面西側の壁面(全長93.6mx幅約2.5m)に「神々と魔族の戦い」が描かれている。

この壁面には、神(デーヴァ)と魔族(アスラ)の戦いの場面が21組刻まれている。

向かって左側が神、一方、魔族は右に描かれ、一組づつ戦っている。

この壁画の中心は、ヴィシュヌとカーラネーミの戦いである。

神と魔族は、頭部の形状の違いで見分ける。神は、頭上に三角形の宝冠をのせている。魔族は、宝冠をかぶらず、髪の先を上に向けている。

それぞれの神の図像上の違いがあまりなく、神が乗る動物(ヴァーハナ)から関連付けて名前を比定している。

ヤクシャに乗る神の名前をGrorge Cordesがクベーラと、Vittorio_Rovedaがニルリティと比定していて異なる。

壁面の東側から数えて2番目と11番目に象が出てくる。2番目の象の牙は2本なので普通の象、11番目の象は、牙が4本なのでアイラーヴァタであると言われている。

ヴァーハナ Grorge Cordes Vittorio_Roveda
ライオン 不明 ケートゥ
不明 クベーラ
ヤクシャ クベーラ ニルリティ
サイ アグニ アグニ
孔雀 スカンダ スカンダ
アイラーヴァタ インドラ インドラ
ガルーダ ヴィシュヌ ヴィシュヌ
水牛 ヤマ ヤマ
ナンディ シヴァ シヴァ
ハンサ ブラフマー ヴァルナ
馬・太陽の円盤 スーリヤ スーリヤ
ナーガ ヴァルナ 不明

魔族は、ひとりを除いて図像上の違いがなく、名前が特定されていない。

名前が特定されているのは、ビシュヌと戦っている魔族で、カーラネーミといわれている。馬車に乗り7面像で描かれている。(2013/06/11)

参考図書:

The Monuments of The Angkor Group Maurice Glaize

ANCIENT ANGKOR Michael Freeman Claude Jacques

Sacred Angkor The Carved Reliefs of Angkor Wat Vittorio Roveda

アンコール ワットの彫刻 第六章 神々と魔族の戦争P93〜112 伊東照司 (2014/11/09更新)