時を超えて微笑む女神たち

アンコール・ワットの連子窓の間などには、2000体を超えるデヴァター(女神)が彫られています。

悲しげに遠くを見つめる女神、壁を埋め尽くすように並ぶ女神──その姿は石に刻まれた祈りのようです。

彼女たちは、華やかな冠を戴き、繊細なリングや髪飾り、指輪で身を飾り、下半身には透けるようなサロン(薄衣)をまとっています。

片手を優雅に掲げ、そこに花や手鏡をそっと添える姿もあれば、腰に手を添えたり、腕を組んで静かに佇む姿も見られます。

サロンのベルトの様式や文様は一体一体異なり、まるでそれぞれが異なる物語を語っているかのようです。

その細部に目を凝らせば、時の流れを忘れてしまうほどの美しさと神秘に満ちています。

アンコール・ワットを訪れたら、ぜひ、この石の女神たちに心を傾けてみてください。

千年の時を超えて、静かにあなたに語りかけてくるはずです。(2015/08/28修正)

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