神話・伝説用語集

アンコール遺跡の破風やリンテルなどには、神々や神話、伝説、説話、昔話などが刻まれています。

この用語集では、そんな破風やリンテルなどを理解する一助になるよう、そこに彫られた神などの特徴を概説しています。

用語 解説
アイラーヴァタ Airavata 「大海からうまれたもの」の意味で、インドラ神の乗る神象。
アガスティヤ Agastya 「リグ・ヴェーダ」に登場する聖仙。ミトラとヴァルナの子。
アグニ Agni 「リグ・ヴェーダ」の火神。南東の守護神。仏教の火天。
アスラ Asuras 神々の敵。魔族。仏教では阿修羅。
アナンタ Ananta ナーガ族の神。
アナンタシャヤナ Anantasayin アナンタに横たわり眠るもの。ヴィシュヌ教の神話で世界の創造を願う。
アーパス Apas 「リグ・ヴェーダ」の水の神。
アプサラス Apsaras 天界の水の妖精。大洋をかき混ぜたとき生まれでた天上界の踊り子たち。
アムリタ Amrita 甘露、不老不死の飲み物
アヨーディーヤー Ayodhaya コーサラ国の首都。ラーマの都。
アルジュナ Arjuna クル族の王パーンドゥの5王子の第三子。
アンガタ Angada インドラの息子バーリの子。ラーマーヤナに出てくる猿族の隊長。
イーシャーナ Isana 支配者の意でシヴァ神を意味する。
インドラ Indra 「リグ・ヴェーダ」の武勇神、雷神。東方の守護神。仏教では帝釈天。
インドラジット Indrajit ラーヴァナの子でインドラ神に打ち勝った者。
ヴァージムカ Vajimukha 馬頭神、ヴィシュヌ神の小化身
ヴァス Vasu 「リグ・ヴェーダ」の自然現象を神格化した八神の総称。
ヴァースキ Vasuki パーターラの世界に住むナーガ(蛇)の王。乳海攪拌の綱になる大蛇。
ヴァーハナ Vahana 「乗り物」の意で、神々が乗っている鳥や動物。
ヴァーユ Vayu リグ・ヴェーダの風神。風を神格化したもの。
ヴァールミーキ Valmiki 叙事詩「ラーマーヤナ」の作者と伝えられる聖仙。
ヴァリーン Valin ラーマを助けた猿スグリーヴァの兄。猿の王国キシュキンダーの王。
ヴァルナ Varuna 「リグ・ヴェーダ」の司法神。西方を守護する水神。仏教では水天。
ヴィシュヌ Vishnu ヒンドゥー教の三大神の一人。宇宙の維持と救済の神。
ヴィビーシャナ Vubhisana [恐ろしいもの」の意で、ランカー王国の羅刹王ラーヴァナの弟。
ヴィラダ Viradha ダンダカの森に棲む人肉を食うラクシャサ。
ウッチャイヒシュラヴァ Uccaishrava 乳海攪拌のとき生まれ出たインドラ神の白馬。
ウマー Uma ヒマーラヤの娘。シヴァ神の神妃。
ウマーマヘーシュヴァラ Umamahesvara ウマーを抱いているシヴァ神。
カーマ Kama 「欲望・意欲」を意味する。愛欲の神。
カーラ Kala 「時間」を意味し、死の神ヤマの別名。寺院の入り口を守る鬼神。
カーラネーミ Kalanemi ランカーの悪魔王のラーヴァナの叔父。猿王ハヌマーンを殺そうとする。
カーリー Kali 「時の女神」「黒色の女神」。シヴァ神の神妃。
カーリヤ Kaliya ヤムナー河に住むナーガ族の王。
カールッティケーヤ Kartikeya 昴と結びついているものの意で、軍神スカンダのこと。
カーンダヴァ Khandava クル族の国クルクシェートラにある森の名。
カイタバ Kaitabha 悪魔ダイティヤ。マドゥと一緒にブラフマーを殺そうとしてヴィシュヌに殺される。
カイラーサ Kailasa 「水晶、氷」の意。シヴァ神の住むヒマーラヤ山脈の山。
カウラヴァ Kaurava クルの子孫たちの意。クル族の王ドリタラーシュトラの息子ドゥリヨーダナを総領とする百王子とバーラタ戦争で彼らに味方する人々をいう。
ガジャシンハ Gajasimha 頭、または、鼻だけが象の形をしたライオン。
ガネーシャ Ganesha シヴァ神の息子。象頭をした知恵と好運の神。
カバンダ Kabandha ラーマーヤナ(森林編)に現れるラークシャサ。
ガルーダ Garuda ヴィシュヌ神の乗り物。蛇を喰らう半人半鳥の金翅鳥。
カンサ Kamsa マトゥラーを治める悪王。
ガンダルヴァ Gandharvas 天上の楽師。アブサラスの配偶者。
キールティムカ Kirtimukha 誉ある面、獅子の顔と人間の腕を持つ。
キラータ Kirata 猟師の姿をしたシヴァ神。
キンナラ Kinrara 人間の身体と半鳥、馬の頭またはその逆であるクヴェーラの天国の楽士。
クヴァラヤーピーダ Kuvalayapida カンサが飼っている巨大な象の姿をした悪魔。
クールマ Kurma ヴィシュヌ神の化身。「乳海撹拌」でマンダラ山を支える大亀
クヴァーラ Kubera 半身がワニの水の神様。北方の守護神。
クリシュナ Krishna ヴィシュヌ神の化身。「ハリヴァンサ」物語の主人公。「黒い神」の意。
クンパ・カルナ Kumbhakarne ランカー王国の悪魔王ラヴァナの弟。
クンビーラ Kumbhira ガンジスに棲む霊魚で、ワニを神格化したもの。
ケートゥ Ketu 天空の悪魔ラーフの息子。天災地変、王の死などの前兆として現れる彗星。
ゴーヴァルダナ Govardhana プリンダーヴァナにある山脈の名。インドラ神の大雨をこの山で防いだ。
ゴーヴァルダナダラ Govardhanadhar 「ゴーヴァルダナ山を支えた者」の意でクリシュナのこと。
サラスヴァティ Sarasvati 「水を持つもの」の意味で、ブラフマー神の神妃。
シータ Sita ジャナカ王の娘で「ラーマーヤナ」の主人公ラーマ王子のお妃。
シヴァ Shiva ヒンドゥー教の三大神の一人、破壊と再生を司る神。
シャクティ Sakti 「神聖な力」を表し、シヴァ神などの神妃をいう。
ジャターユス Jatayus ガルーダの子と言われる禿鷹。シータを助けようとラーヴァナと戦い倒れる。
ジャナカ Janaka ミティラーの王。シータの父。
シンハ Simha 獅子寺院の門や階段、参道脇に置かれる守護神。
スーリヤ Surya 太陽の神、七頭立の馬車に乗る、猿王スグリーヴァの父。
スカンダ Skanda 「攻撃する者」の意で軍神。シヴァ神とパールヴァティの子。
スグリーヴァ Sugriva 兄ヴァリーンに王位と妻を奪われたキシュキンダ国の猿王。
ソーマ Soma ヴェーダの祭式の供物である神酒の名、または、それを神格化した神名。後に月の神。
ダイティヤ Daitya ディティの子孫である巨人族。神々に対立する悪魔的存在。
ダシャラタ Dasharatha コーサラ国の都アヨーディヤーの王。ラーマの父。
チトラグプタ Citragupta 人間の善悪を記録するヤマの側近。
チャクラ Chakra 円盤形の武器でヴィシュヌ神の持物の一つ。
チャクラヴァルティン Chakravartin 世界の支配者。チャクラ(輪)と呼ばれる領土を支配する者。
デヴァター Devata 女神。
デヴィー Devi シヴァ神の神妃としての女神を意味する。
デーヴァ Deva 神。「輝くもの」を意味する。
ドゥルガー Durga 「近づき難い女神」の意で、シヴァ神の神妃。
ドゥリヨーダナ Duryodhana クル族の王ドリタラーシュトラの百王子の長子。カウラヴァ軍の総師。
ドラウパディー Draupadi パンチャーラ王ドルパダの娘で、クル族の王パーンドゥの5王子の妻。
ドリタラーシュトラ Dhritarashtra ヴィヤーサの子として生まれたクル族の盲目の王。
ドルヴァ Dhruva 「固定したもの、動かないもの」の意で、北極星を神格化した神。
ドローナ Drona 「木の器」の意で、クル族の軍師。
ナーガ Nagas 「蛇」の意で、人間の顔をし、5つまたは7つのコブラの頭を持つ半神。
ナーガパーシャ Nagapasa 「蛇の縄」の意で、インドラジットがこの縄でラーマとラクシュマナを縛り付けた。
ナーガラージャ Nagaraga 蛇王。
ナーギー Nagi 女の蛇神。
ナーラーヤナ Narayana ナーガの上で休息している創造者(ヴィシュヌ神の別名)
ナラシンハ Narasimha ビシュヌ神の4番目の化身。半獅子半人。ヒラニヤカシプを殺す。
ナンダ Nanda クリシュナを養育した牧人。
ナンディ Nandi 「幸せなもの」の意で、シヴァ神の乗る聖牛。
バーナ Bana ダイティヤの王バリの長子。クリシュナの円盤で腕を切り落とされる。
パールヴァティー Parvati 「山の娘。シヴァ神の神妃。
パーンダヴァ Pandava パーンドゥの息子たちの意。クル族の王パーンドゥの5息子(ユディシュティラ、ビーマ、アルジュナ、ナクラ、サハデーヴァ)とバーラタ戦争で彼らに味方する人々をいう。
パーンチャジャニヤ Pancajanya 悪魔パンチャジャナの貝殻から作られたほら貝。ヴィシュヌ神の持物。
パーンドゥ Pandu クル族の王。ユディシュティラ、アルジュナ、ビーマ、ナクラ、サハデーヴァ5王子の父。
ハヌマーン Hanuman 「顎骨を持つ者」の意で、猿の勇者。風の神パヴァナとアプサラスのアンジャナーの子。
ハヤグリーヴァ Hayagriva 「馬の首をした者」の意で、ヴェーダを盗んだ悪魔ダイティヤの名。
ハヤシラス Hayasiras ハヤグリーヴァの姿をしたヴィシュヌのこと。
バララーマ Balarama 「巨大な力を持つラーマ」の意で、クリシュナの兄。
バリ Bali ビシュヌの化身ヴァーマナの物語(三界闊歩)に出てくるビローチャナの息子。
ハンサ Hamsa 冬期インドに渡る中央アジアの湖に住む鵞鳥。ブラフマーの乗り物。
ビーシュマ Bishma 「マハーバーラタ」のクル族カウラヴァ軍の英雄。
ビーマ Bhima クル族の王パーンドゥの第二王子。カウラヴァの英雄ドゥリヨーダナの太ももをこん棒で打ち砕いた。
ヒラニヤカシプ Hiranyakasipu 「金の衣類を着た者」の意で、ヴィシュヌ神の化身ナラシンハに殺される。
ブラフマー Brahma ヒンドゥー教の三大神の一人、宇宙の創造神。
マカラ Makara ワニ、サメ、イルカなどの姿をとる神秘的・呪術的力を持つ海獣。
マツヤ Pancajanya 「魚」の意でヴィシュヌ神の第一化身。
マドゥ Madhu ブラフマーが光をあらわし、マドゥが闇をあらわす。ヴィシュヌに殺される。
マハー・カーラ Maha・Kala 「偉大な時間」の意で、死の支配者としてのシヴァ神をさす。
マハーバーラタ Mahabharata クル族とパーンドゥ族の戦争を語る大叙事詩。
マヒシャースラ Mahishasura 「水牛」の意で、アスラの名。
マヒシュースラマルディニー Mahishasuramardini ドゥルガーの別名。魔神マヒシャを殺す女神。
マヘーシュヴァラ Mahesvara 「偉大なる神」の意で大自在神、シヴァ神のこと。
マヘーンドラ Mahendras 偉大なインドラという意味でインドラの尊称。インドラとハリの聖地とされる山脈の名。
マホーラガ Mahoraga 「偉大な蛇」の意で、ニシキヘビ類を神格化したもの。蛇族王シェーシャなどを指す。
マリカ Marica ラーヴァナの伯父。ラーマをだますため黄金の鹿に姿を変える。
マリチ Marici 陽炎が神格化した女神。ブラフマーの子。
マンダラ山 Mandara ヒンドゥー教の神話に描かれる山
ミトラ Mitra 「リグ・ヴェーダ」の友愛の神。
ムーカ Muka ウパスンダの息子。野猪の姿になってアルジュナを殺そうとしたがキラータ(山の狩猟民に身を変えたシヴァ)に殺されたダイティヤ。
メール Meru ヒンドゥーの宇宙観で言う人間の住むジャムブドヴィーバの中心の山。須弥山。
ヤクシャ Yaksha クヴェーラの従者とされ、森、野原などに出没する精霊的なもの。夜叉。
ヤマ Yama 水牛に乗る死と裁判を司る地下の神。仏教では夜魔天。
ラーヴァナ Ravana ランカー王国の羅刹王で10の頭と20本の腕を持つ。
ラーフ Rafu 捕える人の意。天空の悪魔。太陽や月を捕え飲み込む時、日食や月食が起きる。
ラーマーヤナ Ramayana 「ラーマ王行状記」の意味で、ラーマ王子を7編、2万4千詩句で語る大叙事詩。
ラーマ Rama ラーマーヤナの主人公。ダシャラタ王と妻カウサリヤーの長男。
ラークシャサ Rakshasas 夜出没する悪鬼。仏典では羅刹。
ラクシュマナ Lajshmana ラーマの弟。ダシャラタ王と妻スミトラーの子。
ラクシュミー Laksmi 幸運や豊饒の女神。吉祥天女。ヴィシュヌの神妃。
ランカー Lanka 悪魔王ラーヴァナの治める国。
ローカパーラ Lokapalas 「世界を守る者」の意で、御世神。