ワット・プー

雨期の8月、ワット・プーを訪れた。直前まで降っていた激しいにわか雨がやんだ。幸運だった。
所々にできた水たまりを避けながら宮殿の横をとおり、灯篭のようにリンガが並ぶ参道を歩いた。滑らないように注意しながら急な階段を登り、山の中腹にある祠堂を目指した。
バドレシュヴァラ(シヴァのまたの名)を祀る寺院だったのだが、参道入り口や階段の手前、祠堂の内外に仏像が祀られ、線香の煙がたなびいている。今は、信仰の対象になっている仏教寺院だ。
中央祠堂の壁龕にドヴァラパーラやデヴァターが、リンテルにクリシュナやヴィシュヌ神が彫られている。
デヴァターは、アンコール・ワットの像と比べると、少し太めの丸顔で洗練されていないが、これがラオス美人だなと思った。
中央祠堂の向かって右側の奥に、ナーガに縁取られたトリムールティが自然石に直接刻まれている。中央が5面10臂(現在、1臂欠けている)のシヴァ、向かって左が4面4臂のヴィシュヌ、右が1面4臂のブラフマだ。
祠堂から遠望した。少し前に息を切らせて登ってきた参道や四角形の宮殿、二つのバライが見えた。その先に大蛇のようなメコンの大河が横たわていた。気分はすっかり雲上のインドラだ。
- 建立年代:
- 5世紀から13世紀
- 建立王:
- スーリヤヴァルマンT世
- スーリヤヴァルマンU世
- ジャヤヴァルマンW世
- ジャヤヴァルマンZ世
- 規模等:
- 丘状型寺院
- 東西1km x 南北600m
- 参道280m
- 遺跡の意味:
- 山の寺院
- 見所:
- 標高1408mの陵枷鉢姿山(リンガパルヴァタ)
- 祠堂から見る龍のようなメコン川
- 自然石に刻まれた彫刻
