ニャック・ポアン

12世紀末にジャヤバルマン7世によって、ジャヤタターカの中央に建てられた寺院だ。

中央祠堂の基壇を取り巻くナーガの尻尾が絡み合っていることから、ニャックポアンの名がついた。

東西南北に小さい方形の池を中央池は配している。その中心に中央祠堂が建っている。

それぞれの方形の池には、小さな祠堂が付属している。

ここは、当時の病院で中央池(ヒマラヤ山脈の聖湖)から4つの池に流れ出る聖なる水(インドの4大河川ガンジス河、インダス河、オクソス河、タリム河(シーター河))によって病が治るという治水信仰を象徴する寺院だいわれている。

小さな祠の樋口に象、人面、獅子、馬の石像が飾られている。

また、中央聖池の東側には、経典カーランダ・ヴューハ第16章「隊商長シンハラの救出」に出てくる観世音菩薩の化身である馬ヴァーラーハが置かれている。

小祠堂に飾られた樋口を見たくて、2015年8月19日にニャック・ポアンを再訪した。

遺跡の修復、それとも遺跡を保護するためなのか、祠堂全体が柵で囲われている。樋口を見ることができず、残念だった。

また、神聖な池ジャヤタターカの復元のためだろうか、覆っていた森林が伐採されている。視界が広がり明るい場所になっていた。

ニャック・ポアンが新たな姿を見せるのはいつのことだろう?(2016/04/19更新)

建立年代:
12世紀末
建立王:
ジャヤヴァルマンZ世
宗教:
仏教
規模等:
中央池70m四方
 
東西南北にそれぞれ25m四方の小池と小祠堂
 
7層の円形基壇の上に中央祠堂
遺跡の意味:
絡み合う大蛇
クリーニング:
アンリ・マルシャル(1922〜1924)
アナシスローシス技法:
モーリス・グレーズ(1938〜1939)
見所:
神馬バラーハ、小祠堂の象、人面、獅子、馬の樋口
ニャック・ポアン地図